経営戦略が機能しない原因と解決策|エグゼクティブに求められる「未来構想の言語化」とは
経営戦略はあるのに、なぜ組織は思うように動かないのか。多くの企業で起きているのは、戦略の不足ではなく、未来像が組織で共有できる言葉になっていないという問題です。 「中期経営計画を策定している」「成長戦略も描いている」「DXの必要性も理解している」それにもかかわらず、現場では変化が進まない。部門ごとに解釈が分かれ、戦略が実行に結びつかない。そうした状況に直面している企業は少なくありません。 本記事では、経営戦略が機能しない背景を整理しながら、これからのエグゼクティブに求められる「未来構想の言語化」について考えます。 1. 経営戦略が機能しないのは、戦略がないからではない 経営戦略が機能しないと聞くと、多くの場合、「戦略そのものの質」に原因があるように思われます。しかし実際には、戦略が存在していても、十分に機能していない企業は少なくありません。 「中期経営計画はある」「成長戦略もある」「DXの必要性も理解している」それでも、現場では次のような状態が起こります。 ・方向性は示されているが、具体的な動きにつながらない・部門ごとに解釈が異なり、足並みがそろわない・新しい取り組みが既存業務の延長線上で処理されてしまう・ビジョンが「掲げられた言葉」のままで終わっている これは、戦略が存在しないから起きるのではありません。本質的な課題は、企業が目指す未来が、組織で動かせる言葉にまで整理されていないことにあります。 つまり、経営戦略が機能しない企業ほど、戦略以前の前提となる「未来の見取り図」が曖昧なままになっているのです。 2. 経営戦略が機能しない企業に共通する3つの問題 2.1. 戦略の言葉が「正しい」だけでは、組織は動かない 企業の戦略資料や経営方針には、正しい表現が並びます。たとえば、「顧客起点」「価値創造」「変革推進」「事業ポートフォリオの再構築」といった言葉です。 もちろん、こうした言葉自体に問題があるわけではありません。ただし、それだけでは組織は動きません。 なぜなら、その言葉を見たときに、経営企画、事業責任者、人事、現場マネージャーが、同じ未来像を思い描けるとは限らないからです。正しい言葉であることと、動ける言葉であることは別です。 戦略が機能するためには、方向性を示すだけでなく、関係者が「自社はどこへ向かうのか」「自分は何を担うのか」を理解できる状態にまで翻訳されている必要があります。 2.2. 部門間で未来像がバラバラでは、全社変革は進まない 経営戦略が機能しない企業では、未来の見え方が部門ごとに分かれていることがよくあります。 経営は変革を見ている。事業部門は収益責任を見ている。人事は育成や配置を見ている。DX部門はシステムやデータ活用を見ている。 それぞれの視点は必要です。しかし、それぞれが別々の未来を見ている状態では、戦略は組織全体の力になりません。 経営として目指す未来が統合されていないと、各部門は自分の責任範囲の中で最適化を進めることになります。その結果、全体としての変革は進みにくくなります。 2.3. 構想と実行の分断が、戦略を形骸化させる もうひとつの大きな問題は、構想と実行が分かれてしまっていることです。 経営層は構想を語る。現場は実務を回す。しかし、その間をつなぐ設計が弱い。 この状態では、どれだけ優れたビジョンや方針を掲げても、現場の判断や行動には反映されません。結果として、「戦略はあるが、現場は変わらない」という状況が生まれます。 構想は、実行に接続されて初めて意味を持ちます。経営戦略が機能しない背景には、この接続不全があるのです。 3. 解決の鍵は「未来構想の言語化」にある では、どうすれば経営戦略は機能するのでしょうか。その鍵になるのが、未来構想の言語化です。 ここでいう未来構想の言語化とは、「未来ストーリー」や「Vision2030」を組織で実行可能な形にまで落とし込むプロセスと捉えることができます。 言い換えると、次の3つをつなぐことだといえます。 – どのような未来を目指すのかを構想する – その未来を共通認識にできる言葉へ翻訳する – 事業・組織・人材・実行計画へ接続する 未来構想の言語化とは、感覚的な理想論ではありません。構想を戦略へ変えるための経営行為です。 経営理念やビジョンが存在していても、それが事業戦略や部門施策、日常の意思決定へとつながっていなければ、組織は動きません。未来構想の言語化は、まさにその流れをつくるための起点になるものです。 4. 未来構想の言語化とは何か 未来構想の言語化とは、「未来ストーリー」や「Vision2030」を、組織で共有され、実行可能な戦略へと落とし込むプロセスと捉えることができます。 4.1. 予測ではなく「自社の未来をつくる視点」を持つ 最初に必要なのは、未来を構想することです。これは、単なる予測ではありません。 市場や社会がどう変わるかを受け身で予測するだけでなく、その中で自社はどのような価値を生み出し、どのような存在になりたいのかを考えることです。 いま必要なのは、「未来を当てる力」よりも、「未来をつくる視点」です。他社事例の延長線上で考えるのではなく、自社としてどのような未来をつくりたいのかを描く必要があります。 4.2. 経営構想を、組織全体が動ける共通言語に翻訳する 次に必要なのは、その構想を言葉にすることです。ただし、ここでいう言語化は、単なるスローガン化とは異なります。 重要なのは、経営層だけが理解できる抽象語ではなく、関係者が同じ方向を向ける言葉にすることです。誰が読んでも、自社の目指す未来と、自分たちの役割の関係が見える状態にすることが求められます。 この翻訳が不十分だと、戦略は経営資料の中だけに残り、組織の推進力にはなりません。 4.3. […]
DX銘柄に選ばれる企業は何が違うのか?DX戦略・人材育成・実装のポイントを解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、いまや多くの企業にとって避けて通れない経営テーマです。 一方で、「DXに取り組んでいるものの成果が見えない」「システム導入で止まっている」「DX人材が育たない」「経営と現場の認識が揃わない」といった課題を抱える企業も少なくありません。 DXは、単なるデジタルツールの導入や業務効率化ではなく、企業がどのように価値を生み出し、顧客や社会に提供していくのかを見直す経営変革です。 そのような中で注目されているのが「DX銘柄」です。 DX銘柄とは、DXによって企業価値向上を実現している企業を選定する制度です。単にIT活用が進んでいる企業ではなく、デジタル技術を前提に、ビジネスモデルや組織、人材、経営のあり方を変革している企業が評価されます。 本記事では、DX銘柄の意義を整理しながら、これからの企業に求められるDX戦略、人材育成、組織変革の考え方について解説します。後半では、DXを実践に移すための具体的なアプローチとして、管理職向けの「フューチャーデザインプログラム」と、DX推進人材を育成する「AXリーダーズプログラム」についてもご紹介します。 DX銘柄とは何か―選定の意味と、選ばれる会社の条件 「DX銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が2020年から共同で運営している制度です。2023年からはIPAも加わり、技術的・実践的な観点も重視されるようになりました。 東証に上場する企業の中から、DXに先進的に取り組む企業を選定する制度であり、選定される企業は年間でも限られています。 DX銘柄で重視されるのは、単にデジタル技術を導入しているかどうかではありません。デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織、人材、経営のあり方を変革し、企業価値向上につなげているかどうかが問われます。 主に評価される観点は、次の3つです。 ①DX実現能力デジタル技術の活用によって、ビジネスモデルの変革や新たな価値創出を実現できる組織能力があるかどうかが見られます。経営トップの関与、全社的なデジタル施策の展開、デジタル人材の育成方針なども重要な評価ポイントです。 ③企業価値への貢献DXの取り組みが既存事業の深化や新規事業の創出につながり、企業価値向上に貢献しているかどうかが見られます。方向性だけでなく、指標や成果の提示も求められます。 ②ステークホルダーへの発信投資家や社会に対して、DX推進の取り組みや成果を適切に開示しているかどうかが問われます。法定開示にとどまらず、DXビジョンや具体的な取り組みを積極的に発信しているかも重要です。 つまりDX銘柄とは、「IT活用が進んでいる企業」を示すものではありません。企業のDX実行力、変革力、そして将来の価値創造力を示す指標だと言えます。 DX銘柄が注目される理由 DX銘柄が注目される背景には、DXが企業価値と直結する時代になっていることがあります。 これまで多くの企業では、DXは業務効率化やシステム刷新の文脈で語られることが多くありました。もちろん、業務効率化や生産性向上はDXの重要な成果の一つです。 しかし、現在のDXはそれだけでは十分ではありません。 企業に求められているのは、デジタル技術やデータを活用しながら、顧客体験、事業モデル、組織運営、人材育成のあり方を変えていくことです。 特に生成AIの普及により、業務の自動化や効率化だけでなく、企画、分析、顧客対応、意思決定支援など、企業活動のさまざまな領域で変革が進みつつあります。 そのためDXは、情報システム部門だけのテーマではありません。経営層、事業部門、人事部門、現場リーダーが一体となって取り組むべき経営テーマになっています。 DXが進まない企業に共通する課題 一方で、多くの企業ではDXが思うように進んでいません。その理由は、技術不足だけではありません。むしろ、DXの目的や推進体制、人材育成の設計に課題があるケースが多く見られます。 1.DXの目的が曖昧になっている DXが進まない企業では、「何のためにDXを行うのか」が十分に整理されていないことがあります。 たとえば、「生成AIを活用したい」「システムを刷新したい」「紙業務を減らしたい」といった施策の話が先行し、最終的にどのような事業価値を生み出すのかが曖昧なまま進んでしまうケースです。 DXは、手段ではなく経営変革のためのアプローチです。目的が曖昧なままでは、施策は増えても成果にはつながりにくくなります。 DXの基本的な意味や、IT化・デジタル化との違いを整理したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 DXとは?概要や求められている背景、ITとの違いと必要な要素を解説 2.経営と現場が分断されている DXは、経営層だけでも、現場だけでも進みません。 経営層が「事業変革を進めたい」と考えていても、現場がその意図を理解できていなければ、DXは単なる業務負荷として受け止められてしまいます。 一方で、現場で有効な改善アイデアが生まれていても、経営戦略と接続されなければ、局所的な改善にとどまります。 DXを前に進めるには、経営の意思決定と現場の実行をつなぐ人材が必要です。 3.DX人材育成が一過性で終わっている DX研修を実施しても、受講して終わりになってしまうケースも少なくありません。 DX人材育成で重要なのは、知識を学ぶことだけではなく、学んだことを自社の課題に適用し、実際に周囲を巻き込みながら行動に移すことです。 DX人材は、講義だけで育つものではありません。実践、対話、越境学習、フィードバックを通じて、少しずつ育っていきます。 DX人材の育成や、学び続ける環境づくりについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 DX人材は「育てる」のか、「育つ」のか—学び続ける環境が生む変革人材 DX成功のカギは「人材」と「組織」にあります DX銘柄に選ばれるような企業に共通しているのは、デジタル技術の導入だけではなく、人材と組織の変革に取り組んでいることです。 DXを成功させるためには、次のような人材が必要です。 ビジネス課題を構造化できる人材データやAIを活用して解決策を考えられる人材部門を横断して関係者を巻き込める人材顧客やユーザー視点で価値を設計できる人材事業変革のストーリーを描ける人材 このような人材は、単なるIT人材とは異なります。 むしろ、ビジネスとデジタルの両方を理解し、組織を動かしていく「ビジネスアーキテクト型」の人材だと言えます。 ビジネスアーキテクトとは?役割と必要なスキルを徹底解説 DX銘柄に近づく企業が取り組むべき3つのステップ DXを企業価値向上につなげるには、個別施策の積み上げだけでは不十分です。重要なのは、経営、組織、人材、実行を一体で設計することです。 STEP1. 経営の未来像を描く まず必要なのは、DXによって自社がどのような未来を目指すのかを明確にすることです。 自社はどの市場で価値を提供していくのか。顧客や社会に対してどのような役割を果たすのか。デジタル技術やAIをどのように活用するのか。人とテクノロジーの関係をどう設計するのか。 これらの問いに経営層が向き合うことが、DXの出発点になります。 […]
ビジョン策定で終わらせない|エグゼクティブに求められる「Vision2030」の描き方とは
中期経営計画はある。成長戦略も描いている。それでも、将来の方向性に確信が持てず、現場の意思決定や行動にまでつながらない。そんな課題を抱える企業は少なくありません。 その背景にあるのは、ビジョンが存在しないことではなく、未来像として十分に機能していないことです。いま求められているのは、単なる理念やスローガンではなく、企業としての未来を具体的に描き、戦略として動かせる状態にすることです。 本記事では、そのための考え方として「Vision2030」を取り上げ、これからのエグゼクティブに求められる視点と実践方法について考えます。 なぜビジョンは機能しなくなるのか 多くの企業でビジョンが機能しなくなる理由は、ビジョンそのものが間違っているからではありません。問題は、それが未来像として具体化されていないことにあります。 よくあるのは、理念やビジョンは存在しているものの抽象度が高く、部門や役割によって解釈が分かれてしまうケースです。中期経営計画はあるが、将来像とのつながりが弱い。経営は変革を語っているが、現場の判断基準にはなっていない。こうした状態では、ビジョンは掲げられていても、組織を動かす力にはなりません。 つまり、ビジョンが機能しない企業に共通しているのは、未来の姿が解像度高く描かれていないことです。企業としてどこへ向かうのかが曖昧なままでは、戦略も実行も部分最適にとどまりやすくなります。 ビジョン策定や中期経営計画で起こりがちな課題 ビジョン策定や中期経営計画のプロセスでは、多くの企業が似たような壁に直面します。 ビジョンが抽象的で、組織が動ける言葉になっていない 「価値創造」「変革推進」「顧客起点」といった表現は正しい一方で、そのままでは組織が動ける言葉にはなりません。経営企画、事業責任者、人事、現場マネージャーが同じ未来像を思い描けなければ、ビジョンは経営資料の中にとどまります。 部門ごとに見ている未来が異なる 経営は中長期の変革を見ている。事業部門は足元の収益責任を見ている。人事は配置や育成を見ている。DX部門はシステムやデータ活用を見ている。それぞれは必要な視点ですが、未来像が統合されていなければ、全社としての推進力にはつながりません。 構想と実行が分断されている 経営層は構想を語る一方で、現場は日々の業務を回している。その間をつなぐ設計が弱いと、どれだけ優れた方針を掲げても、現場の判断や行動には反映されません。結果として、「ビジョンはあるが、会社は変わらない」という状態が生まれます。 いま求められるのは「Vision2030」という考え方 こうした課題に対して有効なのが、「Vision2030」という考え方です。 Vision2030とは、単なる将来目標ではありません。5年後前後の自社のありたい姿を、社会の変化と自社の強みを踏まえて具体的に描くことです。Future Design Programの冊子でも、「自社の『Vision2030』を創る、1か月」と明示されており、「我々は、5年後にどんな価値を提供しているか?」という問いを起点に、未来構想を深めていく設計が示されています。 重要なのは、「こうなりたい」という願望だけではなく、社会や市場がどう変化するのか、その中で自社はどのような価値を提供するのか、どの領域で存在感を発揮するのかまで含めて考えることです。Vision2030は、未来を語るための言葉であると同時に、経営としての選択を明確にするための視点でもあります。 \ Future Design Programについてもっと知りたい方 / Vision2030と従来のビジョンの違い 抽象的な理念ではなく、具体的な未来像であること 従来のビジョンは、価値観や理念を表現することが中心になりがちでした。一方、Vision2030は、事業、市場、組織の姿まで含めた具体的な未来像を描く点に特徴があります。 現在の延長ではなく、非連続な変化を前提にすること 従来の計画は、現状の延長線上で考えられることが少なくありませんでした。しかしVision2030では、社会の価値観や行動の変化を踏まえ、非連続な未来を見据えて構想することが求められます。冊子でも、社会の価値観が変化する兆しを捉え、新たな潮流を創造する視点が打ち出されています。 組織の意思決定と行動につながること Vision2030は、単なる表現やスローガンではなく、戦略、組織、人材の意思決定に影響を与える前提として機能する必要があります。だからこそ、描くだけでなく、実装できる状態にまで落とし込むことが重要になります。 Vision2030を機能させるために必要なこと Vision2030を描くだけでは、企業は変わりません。重要なのは、それを組織で動かせる状態にすることです。 ここで重要になるのが、「未来構想の言語化」です。 未来構想の言語化とは、「未来ストーリー」や「Vision2030」を、組織で共有され、実行可能な戦略へと落とし込むプロセスと捉えることができます。冊子でも、未来に起こり得る課題と解決ストーリーを構想し、「未来ストーリーを自ら語る」ことが重視されています。 Vision2030を機能させるには、どのような未来を目指すのかを構想し、その未来を共通認識にできる言葉へ翻訳し、さらに事業、組織、人材、実行計画へ接続する必要があります。描くことと動かすことをつなぐ、この一連のプロセスがあって初めて、ビジョンは会社を動かす力になります。 なぜエグゼクティブにこそ求められるのか Vision2030を描き、機能させるためには、エグゼクティブの関与が不可欠です。なぜなら、企業としてどの未来を選ぶのかを決めるのは経営だからです。 現場は、与えられた条件の中で最適化を進めます。しかし、その前提となる未来像が曖昧であれば、結果として現状維持に近い判断が積み重なります。市場や価値観が大きく変化する時代においては、既存の正解をなぞるだけでは差別化が難しくなります。求められるのは、他社の模倣ではなく、自社なりの未来を構想し、それを周囲に共有し、実装へつなげていく力です。 その意味で、これからのエグゼクティブに求められるのは、単なる意思決定力だけではありません。未来を見立て、意味づけし、組織が動ける形に整理する力が必要になっています。 Vision2030を“描いて終わらせない”ために 多くの企業では、ビジョン策定のプロジェクト自体は存在します。しかし、その後に実行へつながらないケースが少なくありません。 その原因は、ビジョンを経営層だけの理解で終わらせていたり、個人の気づきに閉じていたり、組織としての共通認識にできていなかったりすることにあります。会社を動かすには、経営、企画、事業、人事など、複数のキーパーソンが同じ未来を同じ解像度で捉えている必要があります。 冊子でも、個人として社会の将来を考えることを出発点にしながら、未来を創る当事者意識を持ち、未来ストーリーを語ることが強調されています。これは、単なる内省で終わらせず、組織で共有できる未来像へ高めていく意図と整合しています。 Vision2030を実践する場としてのFuture Design Program こうした文脈で考えたとき、パソナデジタルアカデミーが提供するFuture Design Programは、Vision2030を実践的に構想する場として位置づけることができます。 東京での全4回の研修と、淡路島での2泊3日のリトリートで構成される約1か月の集中プログラムです。テーマは「自社の『Vision2030』を創る」であり、未来ストーリーや未来小説、ビジネスアーキテクチャの設計までを含んだ内容になっています。 特徴的なのは、アートをビジネスに介在させるアプローチです。冊子では、アートを鑑賞対象ではなく、未来構想や組織変革の触媒として活用する新しいアプローチだと説明されています。論理や効率だけでは扱いきれない違和感や葛藤、「自社は何のために存在するのか」という問いに向き合い、問いの質を変えることが重視されています。 さらに、Why Narrativeのパートでは、社会の変化の中で自社がどのような貢献を行ってきたかを振り返り、未来社会を論理的に構想し、それを実現するためのビジネスアーキテクチャをデザインするとされています。つまりFuture Design […]
サーキュラーエコノミーとは?概要、DXとの関連性や求められる人材について解説
近年、サーキュラーエコノミー(Circular Economy)という新しい経済モデルが注目されています。 サーキュラーエコノミーは、資源やエネルギーを無駄にせず循環させながら環境負荷を最小化し、持続可能な社会を目指す考え方です。企業だけでなく自治体や地域社会でも導入が進んでおり、社会構造そのものの転換が求められています。 本記事では、サーキュラーエコノミーの基本的な考え方からDX(デジタルトランスフォーメーション)との関係性、そしてこれから求められる人材像まで、わかりやすく解説します。 サーキュラーエコノミーとは サーキュラーエコノミーとは「循環型経済」を意味し、資源や製品のライフサイクルをできるだけ長く保ち、廃棄を最小化しながら価値を最大化する経済モデルです。従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提としたリニア型経済から脱却し、限りある資源を持続的に活用できる社会を目指します。 国際的なリーダー組織である Ellen MacArthur Foundation(EMF)は、循環型経済を「廃棄と汚染をなくし、製品や素材を循環させ、自然を再生することを前提とした設計思想を持つ経済」と定義しています。 特に製造業では、原材料コストの高騰、カーボンニュートラル対応、製品回収・再資源化の強化などが求められており、循環型の仕組みづくりへの関心が急速に高まっています。今後は企業・自治体・地域社会全体が協力し、持続可能性と経済性を両立させる取り組みが不可欠になります。 サーキュラーエコノミーの3つの基本コンセプト(3R進化版) サーキュラーエコノミーの基盤は、私たちにも身近な「3R」から始まります。 ・Reduce(削減) 資源投入量や廃棄物、CO₂排出を抑えること ・Reuse(再利用) 製品や部品を繰り返し使用し、寿命を延ばすこと ・Recycle(再資源化) 役目を終えた素材を回収し、新たな原料として再利用すること さらに近年では、Repair(修理)、Refurbish(再生)、Remanufacture(再製造)、Share(共有・サービス化) といった概念も含まれ、設計・生産・流通・利用・回収まで、経済システム全体を見直す動きが広がっています。 サーキュラーエコノミーが必要とされる理由 サーキュラーエコノミーが必要とされる背景には、以下の社会課題がよく知られています。 ・資源価格の高騰・供給不安への対応 地政学リスクや資源高騰に対して、循環利用は調達の安定化に寄与します。 ・廃棄物問題の深刻化(プラスチック・電子廃棄物など) 環境汚染や処理コストの削減が急務となっています。 ・カーボンニュートラルへの貢献 再利用や長寿命化はCO₂排出削減に直結し、脱炭素戦略の中心的役割を果たします。 ・ESG投資・サステナビリティ経営の浸透 環境価値を創出する企業が評価される時代へと変化しています。 ・新たな産業・雇用の創出 シェアリング、リサイクル製造、素材循環など、新しい市場が広がっています。 これらの要因から、サーキュラーエコノミーは環境対策にとどまらず、企業の競争力を高めるための戦略的取り組みとして重要性が増しています。 サーキュラーエコノミーとDXの関係 サーキュラーエコノミーを実現するには、資源や製品の流れ・使用状況・廃棄・再資源化までのライフサイクル全体を可視化・管理する必要があります。ここで、DXが重要な役割を果たします。 ■サーキュラーエコノミー × DX の代表例・資源・CO₂排出量の可視化 IoTで使用量をリアルタイム計測し、LCAやカーボンフットプリントを自動化 ・廃棄物の最小化(スマート生産) AIによる生産最適化、余剰在庫削減、資材マッチングなど ・回収〜再資源化プロセスの高度化 RFIDタグで素材情報を管理し、回収ルートをAIで最適化 ・シェアリング・レンタルモデルの実現 デジタルプラットフォームで物流・稼働管理を効率化し、所有から利用への転換を支援 これらのデジタル技術は、循環型経済を「仕組みとして成立させる」ための基盤です。 サーキュラーエコノミーに欠かせないDX人材 循環型経済を実現するには、デジタルとサステナビリティの両方に精通した人材が不可欠です。 ・IoT、AI、データ分析、LCA(Life Cycle Assessment/ライフサイクルアセスメント)などの技術知識・廃棄物管理、ライフサイクル設計、リユース・リサイクルの専門性・自治体・企業・地域をつなぐプロジェクトマネジメント力 これらのスキルを持つDX人材が、企業・自治体・地域・防災の各分野で、循環型経済とデジタル活用を結びつける役割を担います。 まとめ:サーキュラーエコノミーとDXで目指す持続可能な社会 サーキュラーエコノミーは、資源・廃棄物・エネルギー・情報を循環させながら持続可能な経済活動を実現するモデルです。その実現には、デジタル技術による資源管理の効率化、サプライチェーンの透明化、回収・再資源化の最適化が不可欠です。 企業や自治体は、循環型モデルとDXを組み合わせることで、環境価値と経済価値を両立できるようになります。こうした取り組みを支えるDX人材の育成は、今後ますます重要なテーマとなるでしょう。 サーキュラーエコノミーを推進するDX人材を育成するDX研修プログラム サーキュラーエコノミーを実現するためには、技術導入だけではなく、資源循環デザイン、データ活用、業務プロセス改革を横断的に推進できる「DX人材」の育成が不可欠です。特に循環型の仕組みづくりには、サプライチェーン全体を理解し、廃棄削減や再資源化につなげる視点が求められます。 しかし社内のみで人材育成を行うと、既存の慣習や制約に縛られ、発想が広がりにくいという課題があります。そのため、外部の視点を取り入れながら学べる“他流試合型”の育成が重要です。 パソナデジタルアカデミーのDX研修では、サーキュラーエコノミーとDX推進に必要なデータ活用力、循環設計の基礎理解、業務改善力、プロジェクト推進力を実践形式で習得できます。自社の資源循環課題や業務プロセスを題材に改善策をまとめる演習を通じて、企業や自治体で循環型モデルを牽引できる実践的なDX人材の育成を支援します。 \ AXリーダーズプログラムについてもっと知りたい方 / ■編集後記サーキュラーエコノミーは、環境配慮だけでなく、地域経済や企業の成長に直結する重要なテーマへと進化しています。DXとの掛け合わせにより、資源の循環やデータ活用が現実的な仕組みとして動き始め、自治体や企業の取り組みも大きく前進しつつあります。 本記事が、循環型社会をつくるための戦略や、組織としてどのように人材を育てていくべきかを考えるきっかけになれば幸いです。今後も持続可能な未来へ向けたヒントをお届けしていきます。
「DX動向2025」とは?日本企業のDXの現状と課題をわかりやすく解説
日本企業のDXはどこまで進んだ?IPA「DX動向2025」をもとに、DXの成果創出のリアルや生成AI活用、内製化の現状を徹底解説!技術と事業をつなぐ「橋渡し人材」の不足や企業文化の壁を乗り越え、DXを成功に導く重要ポイントを紐解きます。
CDOとは?概要や近年求められている背景、求められるスキルやCIOとの違いを解説
CDO(最高デジタル責任者)とは?CIOとの違いや企業のDX推進における役割、求められるスキルを分かりやすく解説!経営戦略とデジタルを融合させ、全社変革をリードするCDOの重要性や、組織への設置・人材育成のポイントをご紹介します。